北の道18 Gijon − Aviles



6月3日(金) Gijonのペンションを8時に出発。歴史のある街らしく、そこかしこに立派なモニュメントや建物がある。まず見失っているカミーノを探そうとするが、街中にあったバルでカフェコンレチェとクロワッサンで朝飯を食べることにする。ヨーロッパ映画みたいなブレックファーストと思うがヨーロッパにいるんだから当然か。
 矢印は一度見つかったが、また見失ったので、カタリナのスマホの巡礼アプリに頼って歩き続けるが、どんどん変な方向に行くようだし、道路には巡礼路を示す矢印も一向に現れないのでどうもこれは眉唾ものの気がしてきた。アプリにはカミーノが登録してあるんじゃなくて、凡その方向を指し示すだけじゃないのかな?途中の道端に警官が交通整理をしていたので教えてもらうも黄色い矢印は依然として発見できなかった。

 大分ずれたと思われる道を延々と歩き続け、結局、スマホは信用できないから私のGPS便りに切り替えることにする。これを行くと鉄道の線路に出て、そっから少し行くと川があるんだと伝える。カタリナはイマイチ納得しないが、予言通りちゃんと線路が見えて来たのでやっと信用したようだ。昼の時間になったので、道端に座り込んで持っている食料でお昼にする。車の通りも少ないから調度いい。
 家が一軒だけある分岐点に差し掛かった。カタリナがそこの家に聞きに行っている間にタブレットで確認していたら、地元の婦人が車を止めて親切に教えてくれるので、方向は合っているのが確認できる。カタリナが聞いてきた情報も同じだったので、この道を歩いていさえすればそのうちカミーノに出るだろうと歩き続ける。

 カタリナがコーヒーが飲みたいと言い出したら小さな村にバルがあって、前にもこんなことがあったと笑い出す。いつものカフェコンレチェを飲んで、ボトルの水が終わりそうなのでトイレから補給する。田舎のトイレの水だって高級ホテルの水だって同じ水道なので変わることはない。

 また暫く歩くと、離れたところに教会の尖塔が見え出したので、教会の側ならカミーノが通っている筈だとカタリナが言い出して、近づいたらその通りだった。石垣にやっと黄色い矢印を発見する。カミーノを見失ってから、かれこれ4時間ほど経っていた。やっとカミーノに復帰して、寂しい道ながらも安心して歩いていたところへ、クラクションを鳴らしながら通り過ぎる車があったので運転手を見ると分岐点で車を止めて教えてくれた婦人なのが分かった。二人して手を振って車を見送る。


 その後はもう矢印を見失うことなく1時間半歩いて目的のアビエルスの街まで辿り着く。この街には石油の精製所があるらしく、高い煙突からは大きな炎が上がりっぱなしになっていた。見たことない光景に何事かと思った。
 大きな街だが、地図アプリMaps.meにはアルベルゲの位置を登録済みなので迷うことなく無事に到着。ネットの写真で見たアルベルゲだった。ネットでは狭い入口の写真しかなかったので、建物も小さい物と思いこんでいたが、中に入っていくと大きな建物だった。受付には子供会(と言っても高校生)のグループがいて、しばらく待たされる。子供は集団になると調子づいてやかましいので苦手なのだが、このグループは行儀が良かった。ひと部屋に全員のベッドが置いてあり、50人位は泊まれそうな大きなアルベルゲだった。ここには自動の洗濯もの搾り機があったので、とても助かる。大人数が泊まれるだけあって、物干し場もとても広くキッチンもちゃんとしていたので百点。

 カタリナは少々お疲れ気味のようなので、疲れた?と聞いたらリトルと答えている。カタリナは普通の女性より体力があって、スポーツも色んなのをやっていたと聞いていたので自分は遠慮することなく普通に歩き続けたのだが、カタリナにはきつかったらしいのが後で分かった。もう少し気遣いするべきだったかな。

 シャワーのあと、少し離れたスーパーへ一緒に行く。食料を大量に買いこんでも物価が安いスペインなので大した額にはならないのが嬉しい。カタリナは昨日のペンションで寛ぎ用の黒い長ズボンを無くしたらしく、通りの洋品店で買いなおすと入っていった。買ったのは前のと似たような黒いズボンだった。12ユーロちょっとなので、日本ならシマムラで買うようなもんか。

 アルベルゲに戻ってくると、オランダのテオとドイツのソロおばさんもチェックインしていた。二人とも私より年上なのに、凄いパワーだ。仲良くなったテオに和風マリアカードの裏に名前を書いて進呈したら、テオも紙切れにぶるぶる震える手で名前を書いてくれた。一緒に写真を撮る。

 買ってきた食糧を出し合っていっぱい食べる。カタリナはオーストリアだが、公用語はドイツ語だそうなので、ドイツ語で乾杯は何て言うのか聞いたら「プロウス」だそうだ。プロウス、初めて聞いた。買ってきたシードラを抜こうとしたらホスピタレロがやってきて、それは冷やして飲んだ方がいいんだと教えてくれる。冷凍庫に10分も入れておけば冷えるそうなので、冷やしてから栓はホスピタレロに抜いてもらい、お礼に1杯ご馳走する。


北の道19へつづく